CSN&Yとガロとサカチン

PARTT
第4章 〜涙はいらない〜

「何?」
「・・・・Kちゃん、いつかコンサートするでしょ?」
「うん、たぶんね。」
「その時、行ってもいい?」
「いいよ・・。」
「良かった!・・・もう一ついい?」
「いっぱいあるんやなあぁ。」
「キスして・・・」
二人の涙が一つになった。このまま時が止まって欲しいと思った。背をむけ帰ろうとした彼女に
「J子、思い出は僕の心のアルバムに貼ってあるからね、元気でね。」というと、
振り返った彼女は「合格か入学祝い二人だけでしようね。連絡絶対してよ。じゃぁね。」
再び背を向け走って帰ってしまった。しばらく、その後ろ姿を見ていた。

家への帰リ道、J子との楽しかった時のことがメリーゴーランドのように、頭のなかで回っていた。涙はなかなか止まらなかった。

  腑抜け状態が一週間ほど続いていた。しかし、もう9月も終わろうとしていた。
その日から日本史を世界史に変更し、それなりに猛勉!N君より電話がありついにマーチンD−28を買いに行くとのこと、
「28万円やっと貯めたので明日、買った後、家に行ってもええか?」
「ええよ、楽しみやなぁ」 

 翌日、夕方にN君は来たのだが、あのブルーケースは持っていなかった。黒く、ごつい感じのケースだった。
「28、値上げしてた。32万もしてた。」
「えーっ、で・・・」「ギルドD−50!」まぁまぁだった。このギターが2年後には凄い音のギターになるとは、当時は考えられなかった。現在はネックの折れを直し、ピックアップを取り付けているが、オベーションを購入後ライブでもあまり出番はないようだ。

 翌年、春、ようやく I 君と僕にも春が来た。J子に電話をするかどうか悩んだが、約束だから一応電話をした。
「おめでとう!よかったね!」「まぁな・・・」「今度の日曜、あいてる?」「うん」「じゃ、デートしてくれる?」「無理しなくていいよ・・。」「T駅で10時ねっ!いい?」「あぁ」「それじゃねっ!」
気がすすまないのだけど、それなりに楽しみでもあった。

 日曜日、10分前に駅に行くとJ子はもう着いていた。化粧もうまくなって、綺麗になってた。
「待った?」
「5分くらい前かな」
「何処行く?」
「考えてあるわよ」
神戸に着いて高架下の靴屋へ、
「Kちゃん、プレセントするよ。でもサイズは履いてみないとねっ」といってロンドンブーツを指差した。
「こんなに、高いものいいよっ!」
「いいの!欲しがってたじゃないっ!」
「そりゃ、そうだけど・・。」
「いいのよ」といって無理やり履かされると、見事にぴったりだった。
勘定を済ませ紙袋を僕に渡しながら「はいっ、プレゼント」と言って腕を組まれた。

 元町のヤマハで1万5000円のギターを彼女が買うという、
「ギター、弾くの?」
「無理かなぁ」
「そんなこと無いと思うけど、夏まで待ったら今の僕のを上げるよ。」っていうと
「そうしようかな、あっ!でも今日が最後のデートよっ!」
「・・・・」
 結局それは買わず、ウィンドウショッピングなどブラブラしていると時間はあっという間に過ぎ、昼ごはんを食べていないことに二人一緒に気づく。5時前だったが、レストランへ。
食事をしながら
「Kちゃん、・・・」
「何?途中でやめんなよ」
「今日、楽しかった。就職してから初めてだよ、こんなに楽しかったの・・」
「ありがとう、僕も楽しかったけど今日が最後やもんなぁ」
「・・うん、この後、すぐ帰る?」
「何処か行きたい所あるの?」
「最後に○×△」
「いいの?」
J子は黙って頷き○×△へ ・・・・・・・・・・・・・・



彼女を家まで送り、帰ると時計は12時をまわろうとしていた。
ヘッドフォンを着けガロ3をターンテーブルヘ、「涙はいらない」が終わったのは覚えているがその後は・・・眠ってしまっていた。

 念願の学生生活が始まり、フォークソング部へ。新入生の発表会というのがあり、S.STILLSの「4+20」をした。
1曲ではだめでN.YOUNGの「OHIO」をダブルドロップDで。それが認められたのか先輩のバンドへ。はっぴいえんどのコピーバンドで、女子大とのジョイントコンサートにも出演できたが、夏前には脱退。夏休みに入りプールでアルバイト。S・ヤイリのYD304を入手。2年半ほど弾きこんでやっと鳴るようになった。「吟遊詩人」は休み前に買っていた。ちょっと、期待外れだったけど、聞き込んでゆくと手離せないアルバムになった。

 後期が始まった。同級のMと仲良くなった。友達以外の何者でもなかったが・・・・・。(まさか、今のカミサンになるとは・・・)
学園祭ではフォーク喫茶、野外コンサート、と演奏の機会が多くあったが、話の間に歌を歌うようで本格的にハーモニーを重視したバンドは2年生になってからだった。
 年末、三叉路がリリースされたが、ヤングギターにガロの解散の記事があった。妙に寂しい感じだった。彼女もいないし、まともなバンドも組んでないし・・・・。

翌年、その二つが解決されるとは思っても見なかった。


PARTU 第1章 〜学生街の喫茶店〜へ

CSN&Yとガロとサカチン〜プロローグ

PARTT
第1章 たんぽぽと暗い部屋
 
第2章 美しすぎて
第3章 遠い春 第4章 涙はいらない

PARTU
第1章 学生街の喫茶店 第2章 個人的メッセージ

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