CSN&Yとガロとサカチン

PARTT
第2章 〜美しすぎて〜

 手渡されたシングル盤を見て驚いていると、

「どうしたの?」
「なんでガロ知ってるの?」
「S君、I 君とガロのこと話してたでしょ!私も興味をもってレコード屋さんに行ったら、これが最新盤って教えてくれたの。」
「そんなに大きな声で話してたかなぁ」
「そんなこと無かったけど...私もS君のこと・・・」
バスが着いた音で最後のほうは聞こえなかった。彼女は笑顔でバスに乗って帰ってしまった。

 家に帰ってそれを聞いた。A面の美しすぎてはすごく好きなタイプのメロディだった。しかしB面が「?」これが同じガロ?とにかく、美しすぎてをコピーしなければならない。それほど難しくはなかった(暗い部屋などと比べると)。テープレコードに録音してみた。再生してみると「これ、俺の声か?一体どうなってるんや。」マークの声とは全く違う。もう一度録音をやり直しても同じだった。ショックだった。誰かの声に似てるなぁと聞いてると、B面のボーカルにそっくりではないか!声はそっくりでも歌は下手!(某H.T.&K.のG氏と最も違うところ)「どうしよう、・・・」真剣に悩んだ。突然、妹が部屋へ入って来て「君と良ーくのほうがええやん!」「何ゆうとんねん、あほ!」(訳「何を言ってるんだ、バカ!」)

「それにしても、兄ちゃん、歌へたやなぁ!」「ほっとけ!あっちへ行け!」、心のなかで「下手なのは今わかったんや!それにガロはロックバンドや!くそ〜っ」と呟いていた。(後日、「やっぱりこれがヒットしたやん!」と言われ「アホばっかりや」と喧嘩したのを昨日のことのように覚えている)正直にJ子さんに言おうと決心、それにしても別れ際、僕のことなんていったんかなぁ?机に向かっていても、そのことばかり考えていた。

 翌朝、久しぶりにN君にあった、YAMAHAのハードケースを持ち可愛い女の子と話を

している。「おはよう!」と声を掛けると「オースッ,GAROの2枚目買ったぞ!」「どうやった?」、「美しすぎてと四葉のクローバーくらいかな。今度やるわ。」「そんなに、ひどいんか?」「聞いたらわかる」「シングルは聞いたんやけど、学校は?」「創立記念日!」「ええなぁ。この人は?」「彼女のYちゃん!」「はじめまして!」「よろしく」と僕。こっちは休みじゃないので学校へ。いつもは早いほうだがきょうは危ない、遅刻かな?と思ったけどセーフ!席変えしたのにJ子さんの隣だけが空いてる。「あれっ?」って小声でいったら、仲の良いサッカー部のSが「そこしか空いてないぞ!俺の席やったのにJ子に変われって言われたわ!」「サンキュー」と言って座ろうとしたら1時限目の物理の先生が入ってきた。彼女はみんなにJ子と呼ばれていて結構人気者だった。その日から席替えはイヤではなくなった、何度しようが隣はいつもJ子だった。

 放課後、バスケット部、最後の日。本当はあと1大会あったのだが後輩に託そうと3年生5人、全員で決めた。試合用の短パンとタンクトップでの練習後、後輩達と握手、ジュースで乾杯。体育館の真中はバスケット部が、両隣はバレーボール部と体操部、彼らからも「お疲れ様!」と声をかけられた時、じわーっと目に汗(!)が溜まってきた。バレー部のマネージャーをしていたJ子からハイッ!ってタオルを渡されその汗(?)を拭った。誰も冷やかす奴がいないので変に困った。「洗って返すわ。」って言ったら「バカ!」って言ってタオルを取られてしまい、バレー部の練習に戻って行った。最後の部室で着替えをし、数枚のタンクトップと短パンを(もちろん洗ってあるもの)を後輩にあずけた。これで全て終了。

 帰ろうとすると「Sくーん、少しだけ待って。一緒に帰ろうよ!」とJ子。「今日は・・・・・」言おうとした時、途中でバスケット部の仲間から遮られ「待っとくってゆうとんぞ!」(訳「待ってる、って言ってるよ」)と代わりに返事され「待っといたれよ」(訳「待ってあげろよ」)といって帰ってしまった。5分ほどして「お待たせっ!ごめんね、今日はお互い最後だったのに・・。」しばらくの間なんのことかわからなかった。「お互いって?」「私もマネージャー、今日が最後!明日からずっと一緒に帰ろうね。」「うん」って答えるのがのが精一杯だった。とても 美しすぎて を歌えないとはいえなかった。いつものバス停まで歩いてる時、何かに躓き、こけそうになった彼女の体を支え、起こそうとした時、彼女の顔が目の前に。しばらく見つめあっていたが彼女は目を閉じた・・・。

 

 文化祭が近づいてきた。I 君と二人だけでは苦しいので、他校生ではあるがN君を引っ張り込んだ。N君はトミーそっくりの声!僕はボーカル、I 君がマークの声さえでたら完璧だったのに。そんなにうまくはいかない。声の高さも(当時は)N.S.I.の順番だった。あれこれ試したが美しすぎてはN君がメロディーを歌いハモ部で上のパートへ以下S, I とするのがベストだった。Teach your childrenはN,Sはイニシャルどおり I 君がクロスビーのパート。OHIOは僕が上のパート。暗い部屋は I 君がファルセットで上、以下トミー、ボーカル役へと続く。「一人で行くさ」「花の伝説」も演ったように思うが定かではない。

 本番当日、下手で控えている時、心臓が飛び出しそうなくらいバクバクしていた。14時というゴールデンタイムで客席はほぼ満杯だった。緞帳は下がっており、マイクセッティングも完了。司会者が次は I .S.&Nによるアコースティックロックです!と呼ばれると同時に「青い目のジュディ」のエンディング、そう4ウェイの最初と同じようにフェードインだ!、緞帳が上がっていく。

PARTT 第3章 〜遠い春〜へ

CSN&Yとガロとサカチン〜プロローグ

PARTT
第1章 たんぽぽと暗い部屋
 
第2章 美しすぎて
第3章 遠い春 第4章 涙はいらない

PARTU
第1章 学生街の喫茶店 第2章 個人的メッセージ

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