PARTT |
緞帳が上がっていく。客席は満員、凄い拍手だ!ハーモニーは完璧!スティルスのスペイン語のアドリブ(?)もそれなりに決まった。そこまでは、完璧だった。このまま2曲目に入りたかったのだが、チューニングを変えないとできない。MCは僕がすることになっていたが・・。チューニングが、なかなか合わない、焦ってくると余計にあわず、N君が僕のギターをとりチューニングをしようした時、学年主任の教師が近づいてきてN君に「君、何組や?」彼に代わり僕が「他校生ですが中学の同級生・・・」「他校生の出演は認めん!」「だけど・・」「ダメだ!」N君は僕にギターを渡し、ステージを降りてしまった。そのまま、続けるわけにもいかず「これで、終わってしまいましたっ!!!」とMCをしてステージを降りた。ブーイングの嵐だ。僕達へのものか、彼へのものかはどうでもよかった。 外へ出るとN君と彼女のYちゃんがいて、「続けたらよかったのに・・」「出来たとしても、そんなことするわけないやろ!ごめんな」、
I 君も「すまん!」とN君に謝っていた。J子が走って来て、「残念やったね。」「しょうがないよ!」と僕。そこへサッカー部のSやバスケの同級の4人や後輩が集まってきてSが「ここでやれや!」みんなが拍手をしてくれた。でも「またこんな所に集まらんようにとか言われると腹立つから・・。」と僕。もしそんなことがあれば僕が完全にブチ切れるのを、みんなある程度予想できたようで「そうやな、また機会あるやろ」とSが言い、自然と輪が解けた。 12月、ガロ3が出た。大阪のK書店のレコードコーナーでは、発売日の前日の夕方には並びはじめることを知っていたので、4時過ぎから待機!5時になっても出ない。店員に尋ねようとカウンターに行くと、箱から取り出しているガロ3のジャケットが目にはいった。急いで家に帰りターンテーブルへ、 時の魔法 と 木馬 に最初はノックアウト!「これがガロや!ガロが帰ってきた!」と一人喜んでいた。 I君に電話すると「えっ!明日と違うんか?」「K書店まで行ってきた!」「負けるわ、で どうやった?」「ガロが帰ってきた!」「ほんまに?(注「ほんとに?」)涙はいらないの路線とちゃうやな?」「ちゃうよ」(訳「ちがうよ」、注 シングルはJ子が買って聞かせてもらっていた)「CSN風か?」「ピン!ポン!」「明日買いに行くわ、ほならな」と電話が切れる。受話器を置くや否や電話がかかってきて「Kちゃん?」J子だった。(S君からKちゃんにあの日以来変わっていた。)「推薦(入試)、どうやった?」「受かった!」「良かったなぁ、で神戸大はどうすんの?」「もう、短大でいいような気がしてきた。」「そうか・・。」「Kちゃんも頑張ってね!」「うん・・。」「じゃぁね」受話器を置く。何ともいえない寂しさに襲われた。夕飯後、今度はN君から「推薦を受けたKS大に受かった。」と連絡があり・・・・。 4月、僕と I 君には春が来なかった(当然の結果だが)。予備校通いが始まる。二人でよく楽器屋のショウウインドに飾ってあるD−45を見てはため息をつき、D−28とグレコのレスポール(EG-360,420)を「大学入ったらバイトして買おうな!」と話し合っていた。J子はアルバイト(週2回)で妹と友達二人の家庭教師を始めた。僕の母から依頼したのだが・・・・。最初は渋っていたが「Kちゃんに会えるからしてみようかなぁ」といって引き受けることになった。神戸大は結局受験せず、高校の担任から残念がられていた。それに比べ僕は・・・。 この年、気持ちはガロから離れつつあった。LIVEの暗い部屋で喜んだのもつかの間、ガロ4で完全に終わったかな?と思いはじめていた。6月、N君より西宮の公民館でライブをするので2曲ほど手伝って欲しいと依頼があり、美しすぎて と 涙はいらない を二人だけで、その後N君は一人でニールヤングのOLD MANほかを演った。この時の写真があればいいのだが、「ガロのすべて」のような本に赤のレインコート(女性もの?)を着たマークの写真があり、たまたまJ子が同じようなものを持っていた。当然それを借り、ブルーのサングラスをかけ、ベルボトムのジーンズといった格好をしていた。(さすがに、63KGあった体重も56KGまで落ち込んでいた。身長176Cmからするとかなり細かった。タバコを吸いはじめたせいもあるように思うが) 昨年と違い、志望校を全て私学に。予備校の進学指導でも◎だった2校、3学部を受けることにした。が、結果は全て×・・・。流石にノー天気な僕も信じられなかった。
I 君も同様。2浪?ガックリ。春は遠い。 その後、一ヶ月以上もJ子と会えなくなるとは思いもしなかった。 当初、再々電話をしても「体調を崩して休んでるのよ。」という返事がJ子のお母さんや時にはお父さんから・・。 僕とは外で話したいと言い、いつものバス停を越えかなり歩いてから 「・・・・・」 「Kちゃんのこと好きよ。大好きよ!Kちゃんだけを、でも・・・・。」と言って泣き出してしまった。しばらくして「わかったよ。」といって肩をだき彼女の家の近くまで行くと、あたりは真っ暗になっていた。 「最後に一つだけお願いがあるの」 |
CSN&Yとガロとサカチン〜プロローグ
PARTT
第1章 たんぽぽと暗い部屋 第2章 美しすぎて
第3章 遠い春 第4章 涙はいらない
PARTU
第1章 学生街の喫茶店 第2章 個人的メッセージ