CSN&Yとガロとサカチン

PARTT
第1章 〜たんぽぽと暗い部屋〜

  N君のお父さんの車のラジオからだった。突如流れてきたCSN&Y風の歌のバックに聞こえるギター、ハーモニー。しかし無情にも車はトンネルへ、抜けると「・・・たんぽぽでした。」と女性のDJ、その後すぐにCMへ。「今のカッコええなぁ」とN君、「あぁ、めちゃカッコええしCSN&Yみたいやった」と僕。N君「たんぽぽってグループの名前かなぁ?」「俺も知らんわ」家に帰ってもさっき聞いた曲が頭の中を駆け巡って眠れなかった。

 翌日、眼がさめると昼前だった。今日はN君と神戸へ出かける約束だった。今日の僕の目的はCS&Nのアルバムを買うこと、4ウェイのフェードインしてくる「青い目のジュディ」を全部聞きたいと思っていた。お茶を飲みながら「昨日のたんぽぽ、やっぱりグループ名ちゃうか?」とN君、「そうやとしたらカッコ悪いな」と僕。N君の家へ戻り、早速、CS&Nをターンテーブルへ、妙に硬いというか甲高い音のイントロがはじまり長い曲が終わったとき「何や、こんなんか!」(訳「何だ、こんなものだったのか!」)、少々、がっかり。他の曲は結構、気に入ったのだが・・・。(この後、この曲のウッドストックでのスティルスのギターの完全コピーをすることが僕のライフワークになり、2000年9月13日現在まだ完全では無い、最初に聞いたときから29年が経つ)
 家へ帰り、4ウェイの2枚目(まだ一度、最初の曲を聞いただけでエレキか?、と思い聞いていなかった)をターンテーブルへ。「今まで何で聞かへんかったんやろ?メチャええやん。」エレキギターアレルギー(ビートルズは別格)が無くなった記念すべき日となった。

 年が明け何月か覚えていないが、いつもの本屋へ行き「GUTS」を手にし表紙をめくるとCS&N風のハーモニー、ガロ!というような内容の記事と「たんぽぽの楽譜が・・・」当然それを買い、その足でレコード屋へ、シングル盤を買った。アルバムを買うお金は無かった。(注:時間、時期など事実関係で前後違っているところがあるかもしれませんが大筋では合っていると思います) N君とは高校が違ったので会う回数は減ったが、I 君は同じ学校だった。たんぽぽを聞き I 君に電話をすると20分くらいで来た。(自転車でも10分かかるのに)二人で「これ演ろか?」「これしか無い!」と意気投合しギターを出しDmをおさえジャラーン、「???」「ちゃうなぁ」(訳 違うなぁ),「1弦の5フレットのAの音がしてる。」あれこれ押さえてみてジャラーン「これや!」そのとき、母から「I 君、ご飯食べて行く?」「えっ、もうそんな時間ですか?」そう言ったとたん「帰るわ!また明日なっ!」「さぶいし、きいつけてな!ほな」(訳 「寒いので気をつけて!じゃぁ」)「ほならなぁ」(訳「じゃぁ、また」)といって帰ってしまった。

 翌日、夜、I 君から電話があり、「ガロのアルバム、買ったぞ!」「何ーぃ、どうやった?」「 めっちゃ、ええよ。ジュディーみたいな曲もあるし・・・」「テストの一週間前やし、終わったら聞かせてな!」といって電話を切った。テスト勉強が手につかない。アルバムが気になってしょうがない。最近、あまり勉強してないしなぁ・・・親が学校へ呼ばれるのも嫌だし・・・。(主要5教科全部5から4へ下がっていた。10段階なら8じゃなく7だったと思う。体育だけ5のままだったが・・・。)焦れば焦るほどだめで最も得意だった数学はもう手遅れの状態だった。

 長い10日間が終わった。今度は僕がI 君の家へ。「最初から聞く?」「うん」、A面が終わりB面へ、鳥肌がたった、イントロ〜メロディそしてギターの音、もう信じられなかった。「凄い、凄すぎる!」予想をはるかに上回っていた。暗い部屋、デビューアルバムのこの曲でノックアウトされたのは、きっと僕だけじゃないだろう。今でも、いつでもガロの一番好きな曲は?って聞かれると「暗い部屋」と答える、死ぬまでいや死んでも変わらないだろう。ジャケットのトミーを見たとき、どこかで見たことがあるんだけどなぁ?と考えること1〜2分、「アーッ、テースト!の奴や!」(失礼)「何やそれ」とI 君、彼は中津川に行ってないので説明すると、「ホンマに見たんか?どんな曲した?」と聞かれたが「ごめん、全然覚えてない。テースト!だけや。」「惜しいなぁー」「本人が一番悔しいんやけど・・・」「まぁ、そうやな」とI 君まで落胆。外はすでに暗くなっており自転車をとばした。

 高校三年の新学期を迎え、相変わらずガロ、CSN&Yのコピーに夢中になっていたある日、二週間に一度のクラスの席変えがあり,以前から好意をもっていたJ子さんの隣の席になった。二週間なんてあっという間に過ぎようとしていた。僕はドキドキしながら「(受験勉強の)息抜きに映画でも見に行かへん?」「ウ〜ン、いいよ」、変則チューニングがわかったときよりうれしかった。映画館をでて、電車に乗り彼女が乗るバス停まで送って行く間、受験、音楽の話をしていて
「へえー、S君ギター弾くの?」
「ちょっとね」
「今度、聞かせてよ」
「うん、・・・付き合って欲しいんだけど・・」と蚊の鳴くような声で言うと
「これ、歌ってくれたら!」と渡されたのは何と運命のシングル 美しすぎて だった。

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CSN&Yとガロとサカチン〜プロローグ 

PARTT
第1章 たんぽぽと暗い部屋
 第2章 美しすぎて
第3章 遠い春 第4章 涙はいらない

PARTU
第1章 学生街の喫茶店 第2章 個人的メッセージ

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