Tommyの愛したギター達

永遠のロックギター少年、Tommy Tommyとオールド・レスポール
日本のギター業界への貢献 カスタムメイドギターへのアプローチ
遥かなるギターの旅路

Produced by きのした


日本のギター業界への貢献

日本のエレキギターの流行と人気は、ベンチャーズ〜GSから始まりました。
いくつかのメーカーがモズライトモデルのコピーを作り始め、そして当時ニューロックと呼ばれていた音楽の台頭から、徐々にレスポールやストラトキャスター、テレキャスターなどに「似た」エレキギターが作られるようになっていきました。

特にレッド・ツェッペリンの大ヒットで、日本でもレスポールの人気が急騰します。
この時期、当時にしては出来のいいモデルを発表したのがグレコギターでした。
同時に、当時のトップギタリストであり、日本のジミー・ペイジと言われていた成毛 滋氏が「グレコはいい」とコメントし、本人がメインギターとして愛用します。
これによって一気に、ギブソン/フェンダーのコピーギターブームが起こります。

1978年頃グレコが発表した「Super Real Series」は、材質や工法も含め非常に精度の高いもので、価格も18万円と異例に高価でした。しかしこれが大評判となります。
これを機にコピー戦争は激化、特にグレコの後発シリーズ「Mint Collection」、フェルナンデス/バーニーの「Revival Series」、トーカイの「Les Paul Re-born Series」、「Love-Rock Series」、この3社はズバ抜けて精度が高く、しのぎを削っていました。
また、カスタムオーダーシステムで名を挙げたESPの「Navigator Series」は高級感のあるオールドコピーモデルを製作し、ブランドイメージを築いていました。

オールドギターは素晴らしいサウンドを持っているが稀少で高価…これらと同等なサウンドと雰囲気を、もっとリーズナブルな価格で手に入れたい…誰でも考える夢ですが、トミーはここでも活躍します。

トーカイの依頼を受けて、彼と義之さんは所有するオールドレスポールをサンプルとして貸し出し、様々なアドバイスを提供します。義之さんは3ピックアップの1958年製レスポールカスタム、トミーはあの1959年製レスポールSTDです。
当時採用したばかりの3次元ルーターを用い、本物を実測して起こした図面に基づいて製作されたトーカイのレスポールコピーモデルは、その高精度なコピーのレベルから、逆に一般のギターファンに「レスポールとはこういうギターだったのだ」という事を知らしめる役割を果たしました。
これは、トミーが一般のギターファンにオールドギターを啓蒙したと言え、トミーが現在のギター業界及び市場にもたらした恩恵は計り知れないものがあるのです。

このシリーズ最高峰のLS−200(定価20万円)は、一本一本微妙に異なる木目、サンバーストの色具合が実にいい雰囲気を漂わせ、材料も非常に良質なものを使用していたため、大変優れたギターでした。

これらのモデルは海外のギタリスト達にも大好評で、ジョー・ウォルシュ、スティーヴ・マリオット、リック・ニールセンらがトーカイのギターをステージで使用しています。
最近ではZZトップのビリー・ギボンズがツアー中に愛用し、「古いトーカイのレスポールモデルは素晴らしい」と絶賛していたのは記憶に新しいところです。
この時期と前後し、こうした日本のメーカーの製品に脅威を感じたギブソン/フェンダーは、知的財産の保有権を主張、法的にコピーモデルは製作できなくなり、本家メーカーが日本のメーカーにオールドリイシューモデルの製作を依頼するようになりました。
これがフェンダー・ジャパンであり、オーヴィル・バイ・ギブソンです。

生産効率優先で、完全に質の落ちてしまった本家ギブソン・レスポールを根本から見直し、1983年から始まった「Les Paul Re-issue」、1993年から始まった「Historic Collection」を開始するきっかけともなったのは、こうした日本のメーカーの力だったのです。
ギブソン社を立ち直らせたのはトミーの功績、と言ったら言い過ぎかも知れませんが…。


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