周りを暗くして弱い光を当てると、インレイが浮き上がるようにして、怪しく輝く。
このインレイの輝きに、25年間魅せられ続けた。
このショットでは、左右の天板の色の違いが良く分かるが、明るい光のなかでは殆ど変わらないように見える。
信頼できる筋によると、この色の違いは程度の差こそあれ、全く同じと言う事は殆ど無く、気にする必要はないらしい。

このD−45は、友人K氏の紹介で、原宿の「Melting Pot」というユーズド・ギター・ショップで、1999年8月に購入した。
売値は58万円だった。
それ以前、いくつかユーズドのD−45を試奏してみたが、いまいちサウンド的にピンとこなかったり、傷が多かったり…
それでいて、安くても65万円以上の値札が付いていた。
程度の良い物は、80万円以上が普通だった。
最初に、このD−45を店内で見た時には、信じられなかった。
殆ど無傷と言っていいほどの、エキストラ・コンディションだった。
試奏してみて、また驚いた。
全体的にボリューム感がいまいちだとは思ったが、バランスは非常に良かった。
殆ど無傷のピックガードを見ても容易に想像が付くが、前のオーナーは、殆ど弾いてやらなかったか、そっと慈しむように扱っていたに違いない。
ギターは、ガンガン弾き込まなくては本当の鳴りは発揮されないと言う持論の私は、『これから私が育ててみよう!』と即座に決心した。
価格が安すぎるのが気になったが、私の目には特に問題があるようには見えなかった。
後に、不安を胸に、私が信頼する神田の「カワセ楽器」にこのD−45を持ち込み、ご主人の言葉を聞いて、どれだけ安堵しただろう。
『これが58万円だったら、絶対によい買い物をした! コンディションも申し分ない。 直す必要があるのは、ブリッジの浮きぐらいで、これは、どのD−45にも普通に起こる現象だ。 大きなリペアをしたり、変に手を入れたところも見あたらない。』
現在、このD−45の主治医が、「カワセ楽器」であることは、言うまでもない。
自店で購入したのではないのにも関わらず、非常に良心的に、そして確かな技術で対応してくれている。